砂の器<デジタルリマスター版>
(C)1974・2005 松竹/橋本プロダクション
国鉄蒲田操車場構内に扼殺死体が発見され、身元不明で捜査は難航をきわめた。警視庁の今西栄太郎刑事と、西蒲田署の吉村正刑事らの必死の聞き込みによって、前夜、蒲田駅前のバーで被害者と酒を飲んでいた若い男が重要参考人として浮かび上った。ホステスたちの証言で、二人の間に強い東北なまりで交わされていた”カメダ”という言葉に注目され、様々な角度から捜査されたが、手がかりはなく西蒲田署の捜査本部は解散。以後は警視庁の継続捜査に移った。その夜、吉村刑事は、「紙吹雪の女」と題した旅の紀行文に触発され、ホステスである高木理恵子を訪ねた。その店には、現代音楽家の和賀英良がいた。彼は前大蔵大臣の令嬢田所佐知子との結婚が噂されている。その頃、被害者三木謙一の住所が判明した。岡山県江見町。その地方に「亀嵩」(カメダケ)なる地名を発見した。三木謙一はかつて、そこで二十年間、巡査生活をしていたのだ。一方、吉村は山梨県塩山付近の線路でついに”紙吹雪”を発見した。それは紙切れではなく布切れで、被害者と同じ血液反応があった。和賀と理恵子は愛人関係にあり、彼女は妊娠していた。彼女は、子供を生ませて欲しいと哀願するが、和賀は冷たく拒否するのだった。和賀は今、佐知子との結婚によって、上流社会ヘー歩を踏み出す貴重な時期だったのだ。和賀を尾行していた吉村は、理恵子のアパートをつきとめ、彼女こそ”紙吹雪の女”であることを確認した。三木巡査、理恵子、和賀英良をめぐって、事件の真相がやがて明らかになっていく。